気液二相・相変化・吸脱着を考慮したベントナイトバリア中の水銀移動挙動の連成解析
Published in 2026
水俣条約の発効を受け、わが国では廃水銀等を硫化・固型化した上で、遮断型最終処分場または管理型最終処分場に処分するための制度整備が進められている。管理型処分場を活用する場合、廃水銀等処理物の周囲に配置されるベントナイトは、雨水浸透を抑制する低透水性バリアであると同時に、揮発したガス状水銀の移動を遅延させる吸着媒体としても機能する。その長期的な封じ込め性能を評価するためには、水分移動だけでなく、水相および気相中の水銀輸送、気液相間移行、ベントナイトへの吸着・脱着を統合的に考慮する必要がある。 本研究では、COMSOL Multiphysicsを用いて、廃水銀等処理物をベントナイトで充填した容器構造物の二次元モデルを構築した。Subsurface Flow ModuleのDarcy’s Lawインターフェースによりベントナイト内部の流れ場を計算し、Transport of Diluted Species in Porous Mediaを用いて、水相中水銀の移流・拡散および残留空気中のガス状水銀の拡散を解析した。さらに、気液相間の水銀移行をHenry則に基づいて表現するとともに、ベントナイトへの吸着について、線形平衡分配、平衡Langmuir型吸着および吸着・脱着速度を考慮した非平衡Langmuir型吸着をモデル化した。これらを同一の解析体系で連成することで、水理条件と吸着特性が長期的な水銀移行挙動に及ぼす影響を比較可能とした。本発表では、実験から得られた吸着平衡および吸着速度パラメータを導入し、平衡モデルと非平衡モデルの違いが廃水銀等処理物の長期封じ込め性能評価に与える影響について示す。
